とある情報システム部門での会話です。

Aさん(依頼者):「この画面のモック作って」
Bさん(開発者):「できました」
Aさん(依頼者):「あれ?この機能、動かないの?」
Bさん(開発者):「モックですから…」
Aさん(依頼者):「動きが見たかったんだけどなぁ」

開発側としては頭を抱えたくなるシーンですが、要件定義や画面設計フェーズでは頻発しがちなやりとりでもあります。

モック、は「モックアップ(mock-up)」の略で、本来は「機能はしないが外見は本物そっくりの見本品」を指します。つまり、前述の会話であればモックに「機能(動作)」を求める A さんは無理筋です。

しかし、言葉の意味は発信側の認識や状況で異なるもの。A さんは単に「動作サンプル」という意味で「モック」と言ったのかもしれません。あるいは、もしこれが入力フォームの設計なら、「実際にデータベースに登録する動き(機能)はなくて良いから、保存時の動的な流れ(外見)をサンプルで確認したい」という意図だったかもしれません。

「モック」や「プロトタイプ」といった用語は、その都度、お互いに定義を明確にして共有しなければ、認識のズレが生まれ、結果、無駄な作業が発生します。

一例として、次のような使い分けがお勧めです。もちろん、結局は「都度、相手が何を必要としてるかを確認すべき」ということに尽きるのですが。

「画面イメージを知りたい」→ いわゆる【モック】
「一部でよいが機能の動きも見たい」→ いわゆる【機能検証】
「機能も含めて全体を確認したいが完璧でなくてもよい」→ いわゆる【プロトタイプ】

ちなみに、実は「モック(mock)」という単語はあまり良い意味ではありません(あざ笑う、あざける等)。あくまで「モックアップ」の略であることを忘れないでくださいね。

それでは、よいお仕事を。