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不具合対応

SharePoint 2010 ワークフローサービスの停止による影響と対応策

  • 2020年10月30日

SharePoint Server や SharePoint Online を利用している方は、業務効率の改善のために SharePoint 2010/2013 ワークフローサービス(以下SP2010WF/SP2013WF)を利用していると思います。ところが 2020年7月上旬、Microsoft 社から突如「SharePoint Online上のSharePoint 2010ワークフローサービスの停止」が通知されました。

SharePoint 2010 ワークフローサービスの停止

以下、通知内容を簡潔にまとめると:

  1. 2020年8月1日移行に作成された新しいテナントでは、SP2010WF は廃止
  2. 2020年11月1日、SP2010WF が既存の全テナントから削除
  3. SP2013WF に関しても、廃止予定(時期未定)
  4. SharePoint Server 2016/2019(オンプレミス)でも2026年までのサポート

2020年8月以降、SharePoint Online 上で SP2010WF を利用する際、警告が表示されるようになりました。

影響範囲

次に該当するワークフローがサービス停止の影響をうけます。11月から動作しないため、申請業務などで利用している場合には対応が必要です。

  1. SharePoint Online 上でテンプレート「3段階の状態管理」「フィードバックの収集」「署名の収集」「承認」から作成したワークフロー
    ※「承認」は2016年以前に作成していた場合
  2. SharePoint Online 上で SharePoint Designer を用いて作成した SP2010WF ベースのカスタムワークフロー

対応策

大きく二つの手段が挙げられます。

Power Automate へ移行する

Microsoft 社が推奨しているのが「Power Automate への移行」です。


Power Automate とは、旧 Microsoft Flow に RPA 機能「UI flows(繰り返し作業の自動化支援)」を加え再リリースされたものです。Microsoft Flow を利用していた方には比較的扱い安いと思います。そうでない方もあらかじめ用意されたテンプレートを使い簡単なワークフローを作成することができます。

ただし、注意が必要なのは Power Automate が SP2010WF/2013WF をそのまま代替えする製品ではない、という点です。望む機能によっては、一見簡単なワークフローでも実装にあたりコーディングや他 Microsoft 製品との連携が必要になることが少なくありません。

SP2013WF へ移行する

次に考えられるのが「一時的に SP2013WF へ移行する」というものです。

SP2013WF でも SharePoint Designer でカスタムワークフローを作成することができます。以前から作成していた方であれば、Power Automate より SP2013WF へ移行する方が簡単かもしれません。

しかし、SP2013WF と SP2010WF は完全な互換性があるわけではなく、さらに SP2010WF の設計ワークフローを SP2013WF 側へシステム移行する手段がありません。都度、新たに SP2013WF を作成する必要があります。さらに、前述の Microsoft 社通知にある通り、SP2013WF も今後廃止される予定であり、問題の先延ばしにかなりません。

Power Automate で一新するか、SP2013WF へ移行するか。こうしたメリット/デメリットを含めて考える必要があります。

Power Automate の「承認」テンプレートを利用したワークフロー

SP2010WF を Power Automate で再現する場合、機能を絞れば Power Automate に標準で用意されている「承認」テンプレートを利用し、「新しいアイテムが追加されたとき」「Share Point のリストにアイテムが作成されたとき」などの動作をトリガーにしたワークフローを作成することができます。


ただし「タスクに期限を追加する」「差し戻し」などは用意されていません。こうした機能が必要な場合、前述の通り、コーディングや他 Microsoft 製品と連携が必要です。

SharePoint 2010 ワークフローから Power Automate へ

SP2010WF の移行先は、基本的に Power Automate が良いでしょう。SP2013WF はサービスの停止が既に予定されおり、一時しのぎにしかならないからです。

なお、今回は触れていませんが、SharePoint Online と連携するサードパーティー製ワークフローサービスを採用する、という方法もあります。ただ、こうした外部サービスは SharePoint Online 側のアップデートで問題が発生することも少なくありません。「SP2013WF(またはサードパーティー製品)でなければ困る!」という特別な事情がない限りは、Power Automate への移行を強くお勧めします。

今回は通知からサービス停止までの期間が特に短く、「手が回らない」企業も少なくありません。正直なところ、この期間で SP2010WF の移行先を選定し、すべて移行することは困難だ思います。ただ、現在ワークフローを利用している業務を見直す機会ではありますので、「むしろチャンス」と前向きに取り組んで頂くしかないのかもしれません。