Microsoft 365 の無償サポートで Power Automate はどこまで質問できるのか?
2022.01.18
Microsoft 365 (Office 365) では、テナント管理者が「サービスリクエスト(通称 SR)」を出してサポートを求めることができます。通常この SR は「Microsoft 365 管理センター」の「サポート」から行うのですが、Power Automate や Power Apps 等については切り分けられていて、 Microsoft 365 管理センター配下の「Power Platform 管理センター」の「ヘルプとサポート」から依頼することになります。
ただ Power Automate や Power Apps は開発基盤という性質上、どうしても他サービスに比べて技術調査や仕様確認(この共同は仕様?バグ?サポートされるの?されないの?)の機会が多くなりがちです。そこで、無償のサービスリクエストでどこまで Power 基盤についてサポートしてもらえるのか?を確認してみました。
基本的な考え方
まず、大枠についてはこちらの公式ブログ(Microsoft SQL Server Japan Support Team Blog)記事が参考になります。2017年の記事ですが、ここから変更はないようです(つい最近の SR でもこちらを案内されました)。
Office 365 のご契約におけるサポート範囲について
https://docs.microsoft.com/ja-jp/archive/blogs/jpsql/office365support
Microsoft Flow 並びにPowerApps における Office 365 の基本的なご支援内容は、一般的なトラブルシューティング (公開情報、事例の調査)、基本的な操作のご案内となります(略)公開された資料に基づく PowerApps の利用方法をご案内することは、本ご契約にて可能でございます。
しかしながら、「PowerApps で、SharePoint のデータを利用して、会社のユーザーが棚卸ができるようなアプリを作成したい」といったようなご要望の場合、プレミアサポートにてご支援を提供しております。
同様に、基本的にお客様にて作成されているアプリやフローにて発生するエラーについても、 Office365 無償サポートにてご支援可能な範囲は、公開情報や事例を基にした対処方法の調査となります。
基本的に「具体的な障害」に対する対応のみにしぼられ、提供される情報は「公開情報」ベースになります。そのため、ある機能の仕様を確認する(変な動きをしているけどこれは仕様?バグ?)ような場合、どうしても「公開情報に記載がない(分からない)」という回答が多くなりがちです
いちユーザーとしては MS 謹製サービスについて MS に質問しているのに…と愚痴のひとつも言いたくもなりますが。こればかりは「そういうもの」ですね。無償サポートですし。
また「セキュリティを高めつつユーザーの利便性をバランスさせるにはどのような設定を行うべきなのか?」等、プロアクティブな「課題に対するソリューション(回答やアドバイス)」もサポート範囲外です。ただ、質問の仕方次第では、かなりアドバイス寄りな回答を貰えたことも(私の実体験として)少なからずあります。
ユニファイドサポート(プレミアムサポート)
無償サポートでは対応できない、上記のような課題解決については、有償サポートである「ユニファイドサポート(旧名:プレミアムサポート)」契約でカバーされる建て付けです。
ユニファイドサポート
https://www.microsoft.com/ja-jp/services/microsoft-unified-support.aspx
マイクロソフト ユニファイドサポートは、すべての Microsoft 製品を対象としたサポートを企業全体に対して提供いたします。また、緊急の技術的問題、24 時間 365 日体制の専門技術を擁するサポート エンジニア チームへのアクセス、包括的なオンラインポータル(デジタルサポート)も提供し、お客様はビジネスニーズに合った適切なプランを見つけることができます。また、障害未然防止やクラウド利用を促進するサービスも標準提供します。
ただ、おそらく多くの方がご存知の通り、ユニファイドサポートは Enterprise Agreement を契約するような大企業向けプランなんですよね。お値段設定はかなり高額で…小さな会社には、ちょっと手が出しにくいです。
プロフェッショナルサポート
折衷案、とは違いますが「無償サポート以上/ユニファイドサポート未満」なのがこのプロフェッショナルサポートです。対応範囲については下記リンク先に詳細一覧がありますが、こちらは課題が具体的でさえあれば、アドバイザリ的な事前相談にも対応してくれるようです。ただ、提供情報はあくまでパブリックな公開情報の範囲に限られます。
プロフェッショナルサポート
https://www.microsoft.com/ja-jp/services/professional.aspx
マイクロソフトの製品に関連して、お客様が直面されているインストール、セットアップ、基本操作方法、およびトラブルの解決などに関する対処方法について一問一答形式で支援いたします。
プロフェッショナルサポートの対応範囲
https://www.microsoft.com/ja-jp/services/professional-supportqa.aspx#coreui-banner-bt9nbho
システム設計・提案やシステム運用コンサルティングなど、具体的でないご質問・ご相談についてはサービスの範囲外となります。
Professional Direct Support for Microsoft Dynamics 365 and Power Platform
こちらは Dynamics 365 のサポートプランですが、名前を見て分かるとおり、Power Platform にも対応しており、管理センターのライセンス管理から購入することができます。日本語での名称は「Microsoft Dynamics 365 アプリケーションおよびプラン1の Pro Direct サポート」です。
最低シート数があり、20 シートの購入が必要です。ただ「テナントの全ユーザー」 を買う必要はなく、SR を出すユーザーアカウント数ぶんで良いため、実質的に 20シート=年額26万円前後になります。
Dynamics 365 と Power Platform の Professional Direct サポート
https://dynamics.microsoft.com/ja-jp/support/
業務上重要なインシデントに対する、事前対応型のアドバイス提供サービス、迅速な応答時間、エスカレーション管理
このサポート契約の対象範囲については…残念ながら、十分な公開情報を見つけることができませんでした。私自身が直接利用したこともないため、なんとも評価できません。ただ、パンフには下の記述があります。どちらかというとユニファイドサポート寄りというか、かなり広範にな課題・問題に対応して貰えそうではありますね。
Proactive Advisory services. Each advisory session is unique and customized to align with your needs. Delivery Managers work with you to understand any questions, issues or pain points you may be experiencing. They follow up with relevant best practices and useful tools to help you get the most out of your technology investment. You can also use advisory services to learn more about an application’s capabilities. Additionally, a Delivery Manager can share the mechanics of how-to setup, configure, and optimize your solution.
詳細を確認しようとすると英語のパンフに飛ばされてしまうため、そもそも日本語でサポートしてもらえるのかちょっと不安ですが。
それでは、よいお仕事を。