Microsoft 365

SharePointへの移行でやるべきこと(第3回)

今回は「検証用環境の重要性」について書いていこうかと思います。

主に検証環境は以下の役割を担います。

1. SharePoint の機能確認

SharePointは日々機能の変更・追加がされているため、最新機能の挙動確認が必須となります。
「知らぬ間に追加された機能に関する問い合わせが・・・」という事態にならないよう、 常に新機能を確認しましょう。
また、事前に活用ケースをユーザーに公開することで「利活用促進」にもつながります。

2. 移行元データベースとの機能比較

データを移行するにあたり 新旧の機能比較(Fit&Gap) の実施は欠かせません。
機能比較をし
 ・移行時のリスク列挙
 ・移行後の業務変更の有無(利用者負担の有無)
を確認します。

これを蔑ろにするとユーザー反発などが起こり、最悪の場合「移行中止」となってしまいます。
利用者が気にしているポイントの一つ「移行後はどうなるの?」に回答する際に必要な情報となります。

3. 移行検証

あくまでも検証が目的です。
必ずしも「実データ」を使用する必要はありませんが、検証精度を高めるのであれば実データの一部をコピーしたり、疑似データを作成し検証に利用してください。

検証ポイントとしては、以下の内容をまとめておくのが良いかと思います。
 ・スクリプトで移行する場合、利用可能なコマンドが存在するか
 ・スクリプト実行環境(要件)の確認
 ・事前に明確になっている前提(仕様)があるか(例えば “一部データの移行不可” など)
 ・利用者にて手動移行する場合の手順(簡易なもの)

利用者が気にしているポイントの一つが「移行はどうするの? 誰がやるの?」です。
早い段階で情報を開示し利用者側の負荷(精神的負荷)を軽減してあげましょう。

4. 利用者への教育

多くの人は SharePoint に触れたことがないはずです。
(知らず知らずに触れていることはあるかもしれませんが。)
そのような状況で「データ移行したから今日からこれ使え」としてしまうと、業務効率が極端に下がり不満が爆発します。

そうならないためにも SharePoint とはこういうもの という使い方講座を設けてはいかがでしょうか。
ただ、会社規模が大きいと全社員を対象にすることが難しいので、その場合は、
 ・各部署から代表者を選出してもらう(代表者に、自身の部署で啓蒙活動してもらう)
 ・マニュアルなどを公開する(「見てもらう」が非常に重要)
など工夫が必要です。

一般利用者向けの教育とは別に 必ず対象としなければならない人たち がいます。
 ・利用者からの問い合わせを受けるヘルプデスク(問い合わせ対応者)
  ⇒ 移行直後の業務開始日から問い合わせが殺到することが想定されるため
 ・移行後のデータを活用/運用する人
 ・移行時の業務インパクトが大きいと思われる部署/人
  ⇒ 移行後の業務インパクト(不満)を軽減するため
 ・移行に協力的な部署/人
  ⇒ 製品特性を理解してもらい啓蒙活動に協力してもらうため
 ・移行に非協力的な部署/人
  ⇒ 先にネガティブ要因を聞き出し、解決に向けて協業するため

他にも、「広報役」として自部署に協力依頼をするのもいいかもしれません。
協力者を募りネガティブ要因を少しずつ取り除きながら移行プロジェクトを進めましょう。